立体商標
立体商標の沿革
立体商標は平成8年の改正法により認められることになりました。
改正以前の商標は平面的なものに限定されていました。しかし、国際的には古くからアメリカが立体商標を認めており、ヨーロッパにおいて、1991年にフランス、1994年にイギリス、1995年にドイツが立体商標の制度を採用しました。
このような状況をふまえ、日本でも立体商標制度が導入されることになりました。
立体商標の対象
立体商標とは、立体的な形状を含む商標のことをいいます。
現在登録されている立体商標の例としては、ペコちゃん・ポコちゃん人形(不二家株式会社)、カーネル・サンダース立像(日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社)などがあります。
これらの立体は非常に著名であり、ややもすると、キャラクタ等々を立体で表現したもののみが保護されると思われがちです。
しかしながら、添付写真に示すような、商品の包装形態もまた、立体商標として保護されます。ただし、この包装形態においても、自他商品を区別できる特徴(識別力)が必要です。
立体商標を登録することの意義
前述のペコちゃん等のような立体形状は著名であり、不正競争防止法によっても、他人の使用を禁じることができます。
しかし、写真の商品の包装形態は、不正競争防止法では保護されにくく、意匠法でも保護されません。
したがって、商業を営む多数の人々にとって、立体商標が認められることになった最も大きな意義は、立体的な包装形態が保護されるようになったことではないかと考えております。
商品の提供者は、商品の本来的な効能のみならず、商品を購入するときのワクワク感、商品を手にした瞬間の喜び、商品を家庭で眺めるときの充実感などなど、商品の外観は、商品にとって極めて重要な要素であると考えているはずです。
このような観点から、包装形態を商標登録で保護し、他人の模倣を防止できることは、立法者の意図とは若干異なるかもしれませんが、商品の提供者にとって喜ばしいことと思われます。
商標登録第4,984,497号(包装形態の保護の例1)
商標登録第4,984,498号(包装形態の保護の例2)
立体商標の保護を受けるための要件
立体的形状であれば、全て登録が受けられるというわけではなく、下記のような商標法が定める登録要件を備えなえれば商標登録を受けることができません。
- 1.願書に立体商標であることを記載する。
この記載のないときは平面商標として取り扱われます。 - 2.商品または包装の形状を普通に用いられる方法で表示したにすぎない商標は登録されない。
たとえば、ヤクルト容器は「くびれ」を有していますが、「乳酸菌飲料」の一般的形状であり、用途・機能等から判断して予想し得ない特徴があるとはいえないとして特許庁で拒絶され、東京高裁においてもこの拒絶を支持しています。
ただし、立体形状自体には識別力がなくても、それに結合されている文字や図形に識別力があれば登録されます。また、使用の結果識別力のある立体形状は例外的に保護されます。 - 3.平面商標との間においても類似判断をして登録するか否か決定される。
最も注意すべきは、商品または包装の機能を確保するために不可欠な立体形状のみからなる商標は登録されません。
立体商標の商標権の効力
- 1.立体商標の商標権の効力は商品や包装・役務提供の用に供する物、広告の形状にも及びます。
- 2.商品または包装の機能の確保に不可欠な立体的形状を効力除外事由として定めています。
- 3.人の特許権、実用新案権、意匠権との関係を調整し、それらの権利が存続期間満了で消滅した後は商標の使用をする権利が認められます。