使用権者の不正使用取消審判
趣旨
商標権者は自由に登録商標について使用許諾をすることができます。
商標法は自由な使用許諾を商標権者に認める代わりに、商標権者に使用権者の選択、使用方法についての注意義務を課し、使用権者の使用によって品質等に誤認・混同が生じた場合には、商標権者の注意義務違反として登録商標を取り消すことができるとしています。
使用権を取消の対象としなかった理由として以下が挙げられます。
私人間で発生する法律行為を行政が取り消すことは法律的に不明確
審判請求された後に使用許諾を解除すれば取消を免れる(審判が棄却される)
使用許諾にともなう商標権者の責任の明確化
なお、当該審判は使用権者の過失による不正使用行為も対象とすると解されています(条文上「故意に」という文言がない)。
請求人について
法文上、「何人も、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる」と規定されています。
要件
商標登録が取り消される要件として以下が挙げられます。
専用使用権者または通常使用権者の行為であること
登録商標と同一または類似の商標を指定商品等または類似の商品等に使用すること
商品等の品質等誤認、または他人の業務にかかる商品等と混同を生ずる行為であること
商標権者が不正使用行為について相当の注意をしていなかったとき
請求期間
使用権者の不正使用事実がなくなった日から5年を経過した後は、当該審判を請求することができません。
効果
取消審決の確定により商標権は消滅します。商標権者または不正使用をした専用使用権者もしくは通常使用権者であったものは、審決確定から5年間は取り消された登録商標または類似する商標について同一または類似の商品(役務)について商標登録をうけることができません。