商標と商品・役務
商標とは
商標とは、簡単にいうと、事業者が自己の取り扱う商品(役務)を他人の商品(役務)と区別するために、その商品(役務)について使用する標識(マーク)をいいます。
商品・役務とは
商標法は「商標」や「使用」の定義については規定していますが、「商品」または「役務」の定義については規定していません。したがって、「商品」または「役務」の定義については一般的に以下のように解釈されています。
商品について
商品については以下のように解釈されています。
・1 有体物であること
有体物とは、固体・液体・気体のような有形的存在をいいます。したがって、酸素、水素、天然ガス等は商品になりますが、電気・熱・エネルギー等は商品にはなりません(ただし、これらを提供する役務は役務商標の対象になります)。
なお、「電気」は有体物ではありませんが、たとえば「電池」のように目に見えるかたちに変えると有体物となります。
・2 動産であること
土地とその定着物(たとえば、家屋)だけが不動産であり、その他の有体物はすべて動産です。したがって、土地およびその定着物は商品商標の対象にはなりません(ただし、不動産の売買、建物の建築等は役務商標の対象になります)。
・3 流通性があること
商標は商品が流通することによって商標権者の出所を示すものとして機能するので、その場限りで費消される(流通しない)ものは商品ではありません。したがって、レストランの提供する料理(ファーストフード店の持ち帰り等を除く)は有体物ですが、商品商標の対象にはなりません(ただし、飲食物の提供として役務商標の対象となります)。
・4 商取引の対象となっていること
単に宣伝媒体にすぎないパンフレットや販促物品はそれ自体が商取引の対象となっているわけではないため、それらは商品商標の対象にはなりません。
たとえば、最近ではお菓子などにオマケがついているもの等もありますが、この場合は、消費者がお金を払う直接の目的はお菓子であるとされています。
このような場合、お菓子は商品と言えますが、オマケは商品ではないということになります。
役務について
「役務」とは、他人のためにする労務または便益であって、付随的ではなく独立して商取引の対象になるものをいいます。
上述したように、商品商標は有体物に関する商標ですが、役務商標は形を持たないもの、たとえば、インターネットの使用や、電車に乗って移動したり、映画を見たり、音楽を聴いたりといった、形を持たない役務(サービス)についての商標です。
こういった無形のサービスに対する名称は「役務商標」または「サービスマーク」と呼ばれ、商標の対象になります。
現代では、フランチャイズチェーンのような経営の大規模化、全国化が進みサービス提供地域が拡大され、さらに、顧客の様々なニーズに柔軟に対応する必要上サービスの内容も非常にバラエティーに富んだものとなり、企業によって提供するサービスに独自性が生じてきました。
その結果、消費者が企業のサービスの違いを商標で識別できることが必要になってきたため、企業がサービスの提供の際に使用するマークも保護の対象とするようになりました。これがサービスマークです。
商品との違いは、有形はなく無形であることと、流通性がなくてもよいということです。