登録を受けることのできる商標・できない商標
商標登録を受けようとする者は、登録を受けようとする商標、その商標について使用する商品(役務)、出願人の住所等を「商標登録願」(願書)に記載して特許庁に提出する必要があります。
出願された書類は、特許庁の商標課で商標登録するかどうかが審査されます。
登録を受けることができる商標
商標登録を受けることのできる商標は、次のような商標でなければなりません。
(1) 自他商品の識別力または自他役務の識別力を有する商標であること。
自他商品(役務)の識別力とは、その商標により需要者が何人の業務に係る商品(役務)であることを認識できる(自己と他人の商品(役務)の区別ができる)ことをいいます。
(2) 不登録事由に該当しないこと
自他商品等識別力を有する商標であっても、以下の事由に該当する場合は商標登録を受けることができません。
- わが国の国旗等若しくは外国の国旗と同一または類似の商標
- パリ条約の同盟国等の紋章等であって、経済産業大臣の指定するものと同一または類似の商標
- ・国際連合等を表示する標章であって、経済産業大臣が指定するものと同一または類似の商標
- 赤十字の標章等の使用の制限に関する法律第1条の標章等と同一又は類似の商標
- 日本国等の政府 ・地方公共団体の監督用又は証明用の印章 ・記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であって、その印章 ・記号が用いられている商品(役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用をするもの
- 国、地方公共団体等を表示する著名な標章と同一又は類似の商標
- 公の秩序や善良の風俗を害するおそれがある商標
- 他人の肖像、氏名、名称、著名な雅号 ・芸名 ・筆名等を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)
- 政府等が開設する博覧会等の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をするものを除く。)
- 需要者の間に広く認識されている他人の未登録商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品(役務)について使用をするもの
- 他人の先願に係る登録商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品(役務)について使用をするもの
- 他人の登録防護標章と同一の商標であって、同一の商品(役務)について使用をするもの
- 商標権が消滅した日(異議申立における取消決定又は無効審決があったときは、その確定の日)から一年を経過していない他人の商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品(役務)について使用をするもの
- 種苗法の規定により品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であって、その品種の種苗又はこれに類似する商品(役務)について使用をするもの
- 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標
- 商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
- 日本国のぶどう酒等の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章等のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であって、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの
- 商品又は商品の包装の形状であって、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標
- 他人の業務に係る商品等を表示するものとして日本国内又は外 国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするもの
登録をうけることができない商標
上述したように、商標登録を受けることのできる商標は自他商品等識別力を有していなければならないため、以下のような商標は登録を受けることができません。
(1) 商品または役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
たとえば、商品「時計」について商標「時計」を普通に付す場合
(2) 商品又は役務について慣用されている商標
たとえば、商品「清酒」について商標「正宗」、役務「宿泊施設の提供」について商標「観光ホテル」を付す場合
(3) 商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装 の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
たとえば、以下のようなものがあげられます。
商品の産地: 商品「茶」について商標「宇治」
商品の販売地: 商品「洋服」について商標「東京銀座」
商品の品質: 商品「時計」について商標「GOOD」
商品の原材料: 商品「ブラウス」について商標「絹」
商品の効能:商品「薬剤」について商標「万能」
商品の用途:商品「靴」について商標「スポーツ」
商品の数量:商品「ビール」について商標「1ケース」
商品の形状:商品「ラジオ」について商標「ポケット」
商品の包装の形状:商品「ワイン」について商標「通常のビンの形状を表わした図形」
商品の価格:商品「ジュース」について商標「百二十円」
商品の生産の方法:商品「コーヒー」について商標「炭焼き」
商品の生産の時期:商品「清酒」について商標「寒造り」
商品の使用の方法:商品「薬剤」について商標「貼薬を人の肩に張りつけている図形」
商品の使用の時期:商品「セーター」について商標「ウィンター」
役務の提供の場所:役務「自動車による輸送」について商標「近畿」
役務の質:役務「飲食物の提供」について商標「高級料理」
役務の提供の用に供する物:役務「預金の受入れ」について商標「自動預金機」
役務の効能:役務「入浴施設の提供」について商標「肩こり解消」
役務の用途:役務「資金の貸与」について商標「マイホームローン」
役務の数量:役務「パソコンの教授」について商標「週2コース」
役務の態様:役務「飲食物の提供」について商標「セルフサービス」
役務の価格:役務「テニスの教授」について商標「2000円」
役務の提供の方法:役務「衣服の貸与」について商標「レンタル」
役務の提供の時期:役務「語学の教授」について商標「冬季講習」
(4) ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
たとえば、「鈴木」、「YAMADA」など
(5) 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
たとえば、「一本の直線」、「球」、または「円柱」などの立体的形状
(6) その他、需要者が、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することのできない商標
たとえば、地模様のみからなるもの、キャッチフレーズ、現元号「平成」など
また、特定の役務について多数使用されている店名(第3条第1項第4号に該当するものを除く。)も本号の規定に該当します。たとえば、「 アルコール飲料を主とする飲食物の提供」及び「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」について「愛」、「純」、「ゆき」、「蘭」、「オリーブ」、「フレンド」など
但し、上記(3)~(5)に掲げるような商標であっても、使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できるようになったものは商標登録を受けられます。
詳しくは特許庁ホームページの商標の基準便覧ガイドラインの審査基準第3条を参照して下さい。
同一または類似の先行登録商標について
自己と他人の商品(役務)を識別することができる商標は、その商標の使用により消費者等の信頼がその商標に化体するため、そのような商標を保護するために商標権が付与されます。
したがって、同一または類似するほかの登録商標がすでに存在する場合には、自己と他人との商品(役務)の区別をつけることができない(信用が化体しない)ため、商標権が付与されません。
商標が類似するかどうかの基準を理解するのは難しいので、特許電子図書館の称呼検索を利用されるとよいと思います。
称呼検索では、使用または出願しようとする商標と、当該商標の区分または類似群を指定して検索を行うことで、当該商標に同一または類似する先行する登録商標がないかどうかを調べることができます。
ただし、特許電子図書館の称呼検索は機械的に類似商標を索出しているだけなので、称呼検索において類似として索出された商標が必ずしも審査において類似と判断されるわけではない点に留意して下さい。